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約2年に及ぶ物件探しからデザイン、設計。築100年という古民家に対する土地+建物+改装工事費を含めた融資の手続きに四苦八苦しながらもやっとの事で建物に手をかける時期がきました!

はじめに・ご挨拶・ 初めまして、建築デザイナーをしている田中涼です。 昭和59年6月、長男として生まれ、建築専門学校を卒業後、大学へ。 卒業してからは建築に携わる仕事を滋賀で13年。 店舗デザイン、住宅設計を含め100件を超えるプロジェクトを参画。

そんな中、漸く隣町である近江八幡市で憧れのヴォーリズ建築であるパーミリー邸と巡り合い、先日土地の契約をさせて頂きました。

ヴォーリズ建築をご存知でしょうか?

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories) 1880年、アメリカ合衆国に生まれ、24歳で滋賀県立商業学校の英語教師として来日。その後、近江八幡に定住し、日本の気候風土や生活に合わせた機能的かつ豊かなデザインと人が和む空間を有した建築を多く生み出した。

代表建築物としては、アニメ「けいおん」の私立桜が丘女子高等学校のモデルとなった滋賀県の旧豊郷小学校や、兵庫県の関西学院大学 西宮上ケ原キャンパス等があり、手がけた建築物は住宅から学校、教会、デパートメントやホテル、オフィスまで幅広く、その数は戦前だけで1500件を数えました。

建築家でありながら、キリスト教の伝道や社会事業を展開し、ヴォーリズ合名会社(のちの近江兄弟社)を創立。メンソレータム(現メンターム)を広く日本に普及させた実業家でもあり、1941年に日本国籍を取得し、1958年に近江八幡市名誉市民第1号に選ばれました。

パーミリー邸の歴史と僕からのメッセージ 建物は大正13年(1924)に元近江ミッションに参加していたパーミリー女史※1の住宅として建てられ、その後、昭和14年頃にヴォーリズ建築事務所の建築部員の柿元氏が継ぎ、一部増改築を加えて長らく個人の住宅として使われておりました。

その後、内部見学の出来なかったこの建物を、ヴォーリズ建築の保存活動をする「一粒の会」副会長であった方が、2015年に旧柿元・パーミリー邸を購入されました。 『改修後に一般公開するとともに、コミュニティーの場として開放したい』という思いの中、残念ながら実現する事なく急逝されました。。。

ご遺族から、『建替えでなく、修繕して残していってくれる方に・・・』という思いで建物の引き継ぎ手を募集されている中、私どもが先日土地の契約をさせて頂きました。 現状は空き家の期間が長く、建物は老朽化が進み外壁には穴が空き、シロアリによる被害などが御座います。

ただ、ヴォーリズ建築の特徴でもあるマントルピースやクリスタルのドアノブなど、室内は築90年越えのオリジナルな部分も多く残っており、気品と優しさを兼ねた美しさが残っております。

リフォーム後には建物を公開させて頂く等、次の世代に。。。

急逝された前の持ち主の思いと共にこの建物を引き継いでいきたいと願っております。 ここで暮らした人たちの刻んだ歴史と思いと共に、 この建物を一つの痕跡として残していきたい・・・

そんな思いで今回のプロジェクトを立ち上げました。

長くなりましたが、 以上が「ヴォーリズ建築 パーミリー邸」の全貌です。

ぜひ皆様のご支援、お力添えどうぞお願い申し上げます

※1パーミリー女史は同志社女子部設立に尽力されたのち、ヴォーリズ夫妻と共に近江兄弟社学園に奉職した女性宣教師である。

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